モンゴルの急成長~ゲルから都会へ~



全人口270万人のうち、120万人が首都ウランバートルに住む国、モンゴル。驚くことにその120万人中70%は35歳以下の若者だそうです。

ほんの数年前に民主政権が政治主導をとってからは、豊富な鉄鋼資源を生かし、外国資本の流入を奨励している急成長中の都市。

11月も終わりになった頃、そんなウランバートルの地を踏みました。
中国との国境の町、ザミンウードから列車で16時間の旅中、座っているとお尻が痛くなってしまうような木材に薄いシートをかぶせただけのような4等座席で、隙間風が入ってきて夜もちぢこまりながら眠れず、ただ改札のときのみ異様に明るくなり常時は日本の戦時中のようにオレンジのぼんやりとした灯りしか灯らない開放コンパートメントの中では、日本の古きよき時代を見るかのような光景がありました。

大きな荷物を助け合いながら荷物棚へあげるひとびと。
同じコンパートメントをともにした彼らは、初対面に関わらずまるで旧知の仲であるかのように誰かの持ちこんだひまわりの種をつまみながら話をしています。

疲れたお母さんを気遣って、上段のベッドをしつらえてやり、自分の上着を被せてやる息子。
誰かの持ってきた本を読み出すまだ幼い少女。

モンゴル人は中国人よりも雰囲気が日本人に近いとCathyは感じます。静かで、相手に気を遣い、さりげない優しさを感じるので言葉が全く通じないにも関わらず一緒にいて落ち着くというのはどういうわけでしょうか。そしてモンゴルの若者には日本人に最近欠しい覇気というか生きるエネルギーが感じられて、気持ちがいいのです。

外気温は-30度近くにも冷え込む朝、ウランバートル駅に到着しました。
驚いたのは寒い、寒いと聞いていたのですが、ある限度を超えると寒いというよりは痛いという表現がふさわしいみたいです。息をしていると鼻毛がパリパリと凍りつき、それならばとストール越しに息をしていると、そのストールが口から出てくる温かい息で凍ってしまいます。

迎えにきてくれた日本人の友人に
「いま、モンゴルは年に一番寒い時期だよ。冬季は地面が3メートル近くも凍って、工事も中断になるのさ。名物のゲルに泊まるのも、馬に乗るとしてもやっぱり季節は夏だね。こんなこと言ってなんだけど、いったいこんな時期に何しに来たの? (笑)」
と笑われてしまいます。そんなことも言われましたが、粉雪降りそそぐウランバートルの町は、思った以上に都会で、そして道路の両脇に並ぶ軽く白い化粧をまとった木立達は美しいものでした。

街中を歩くと、やけにあちこちに丸い穴があいているのが目立ちます。どうやらマンホールの蓋が、取り去られているよう。

近年の経済急成長がウランバートルへの人口流入をもたらし、その反面失業者も増えました。
そうした者たちはマンホールを取ってそれを鉄材として売ってお金に替えてしまうのだそうです。
運転手のツェツェさんは、流暢な日本語で説明してくれます。

とはいえ多くのモンゴル人はいまだに伝統の遊牧民族の住むゲルに住んでいて、
政府から家族1人頭200平方メートル支給されるという土地で遊牧生活を営んでいます。そのゲル、1ゲルは約10万円でつくれ、折りたたみ式でどこにも移動可能だそうで。

この国が発展していったら、Cathyが電車の中で出会ったような人々の温かい繋がりも薄れていってしまうのでしょうか。まだ見ぬこの国の将来に、なんとはなく日本を重ねて見てしまっていた自分がいたのでした。

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