南イタリアの田舎駅



うたかたの眠りからふと目を覚ますと、隣のベンチがなくなっていました。

時計を見ると時刻は朝の2時半。正確に言うと、1人づつ腰掛けることのできる、よく駅にあるようなプラスチック製の椅子が4つ組み合わさっているものが2組、この待合室には並んでいたはずなのに、一方が忽然とその姿を消しています。

南イタリアのナポリからブーツのかかとの港町、ブリンデシに向かう途中の電車乗り換え駅。

おりしもその日はクリスマスデイ。真夜中であることも手伝って、駅の待合室はCathyほか、前歯がぼろぼろにかけてしまっており窪んだ目に黒のアイシャドウが濃いイタリア人のおばちゃん、遠くのほうで毛布にくるまって眠りこけている性別さえ定かでない乗客のみでした。そのおばちゃんも、Cathyの座っているほうのベンチに自分の荷物を置き去りにしたまま、今は外に出てタバコをすっているのがガラス扉ごしに見えます。

乗り換えする予定の始発まで、あとまだ2時間もあるので、Cathyは自分の荷物に寄りかかって、うとうととしていたところなのでした。

最初は寝ぼけながらまだ夢の続きを見てるのだと思ったのですが、やはりどう考えてもおかしい。
どうでもいいことなのかもしれないけど、気になると仕方がなくなってきちゃって。

突然、どこからともなく現れた中背の黒人のお兄ちゃんに話しかけられました。

「ハロー、○×●?・・・・!・・・」

・・ハローしかわからない。でも、彼のイタリア語会話の中に、時々英語の単語に似たイタリア語がまざっています。

「・・ポリッツイア・・・」

彼の指差す方向を見ると、Cathyがついさっきまで考えていた4人掛け1組の待合イスが、はるか向こうの扉の近くまで移動しています。その上には彼の荷物らしきものも、のせられているようです。
どうやら、身振り手振りからして、

『もしポリッツイア(警察)が来て、君にここにあったイスはどこかと尋ねたら、知らないふりをしてくれないか』

と言っているようです。推測にすぎませんが、Cathyが座っていたイスはちょうど電車の着発表示をする電光掲示板の前にあったこともあり、駅構内でも常に光をあびていました。
仮眠をとりたかった彼としては、その光はまぶしすぎたのでしょうか。

それにしても、まぶしいからって4人分もある大きなイスを移動させちゃうなんて、さすが南イタリア。
過酷な状況にあっても一時ならとガマンを決め込んでしまう日本人と比べて、自分の快適なように周りをもっていくところに、妙に感心・納得してしまうのです。

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ポーランドから国境を歩いてチェコまで越えてみよう~2013年旅の技術~

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ヨーロッパにきて、一番困るのはズバリ移動費。
特に国際列車の寝台は100ユーロとかざらで、気持ちが萎えそうに・・

でもそんなヨーロッパの国境を安く、しかも徒歩で!!越えれるスポットがあると聞いて行ってまいりました~

行きかた:
ポーランドのクラクフ(アウシュビッツの拠点になる町)からポーランドの国境チェシンという町まで、私営バスがでてます。
クラクフのバスターミナルで、30分ごとに1本の割合で出ているので直接ターミナルに行って、運転手からチケットを買ってください。
(チケット1人20ズウォティ:約500円)

バスは3時間ほど走って、ポーランド側国境の町チェシンへ到着。
そこからチェコ側の国境の町、チェスキーチェシンまで約2kmを徒歩もしくはタクシーで。

タクシーを使うと約600円だそうですが、全然徒歩で行けます。
標識がないので、地元のひとにチェスキーチェシン?と聞きながら・・

50mほどの橋が川にかかっているところがあり、そこがポーランドーチェコの国境になっています。(フツーに車もびゅんびゅん行きかっていて、歩いて越えれます。EUの標識も立っています)

チェスキーチェシンの駅前にはホテルもあるので、そこで宿泊して町を見てみるのもいいかもしれません。(筆者はそのままチェコのプラハまで電車に乗ってしまいましたが・・)
プラハ行き電車は約30分間隔でありました。(340チェココルナ:約1400円)乗り継ぎがスムーズにいけば、約8時間でクラクフープラハへ到着です。

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もれなくオヤジがついてくる?!レンタルモーターバイク@サントリーニ島

サントリーニ島。大昔に火山の噴火でできたこの島には、今では白い壁に青色のドームをもった教会、カラフルでまるで生活感の感じられない家々が山肌に連なっています。
その迷路のような小道を上ったり降りたりしているとふっとどこからともなくやってくる犬や、わら草を運ぶロバのご一行様に出くわしたりして、新鮮な驚きというプレゼントをくれるのです。

そんなギリシャの離れ小島で、少々寒い潮風を真正面にあびながらスクーターに乗って岩山の間を滑走しちゃう。向かう車道に走る車から、現地のおっちゃんが笑顔で手をふってくる。

「サントリーニ島へ、ようこそ!!」

もし自分が旅を終えてどこかの島に住むとしたら、Cathyもそうやって旅人をむかえてあげたい。

・・てな妄想をしながら、Cathyは意気揚々とレンタルモーターバイクの店の扉を開けました。

カランカラン。

1月の始め、シーズンオフの島では、ほとんどの店が閉まっている中この店が開いていたのを見つけられたのはラッキーでした。
カウンターのギリシャ人のお兄さんが、こちらを見てにこにこと笑顔をくれます。

「バイクを借りたいのですが。」

お兄さん、早速バイクの写真のついた価格一覧表を出してくると、聞いてきた。

「それで、この中でどれにしますか?」

Cathyは一番小さいバイクを指差す。24時間レンタルで15ユーロ。安い!

「免許はお持ちで?」

さっそく国際免許証を自分のバックから取り出すCathy。それを手渡すとお兄さん、しばらくじっくりそれを読んでいたけどつき返してきた。

「この免許証じゃあ、あなたには運転できません」

「え??ちゃんとした免許証なのに?!」
Cathyはびっくり。

「ほら、ここを御覧なさい。モーターバイクの運転許可の欄に、スタンプが無いでしょう。」

呆然。。その欄を見ると、確かにモーターバイクは運転できないみたい。でも、スクーターなら、と聞いてみるも50cc以下のスクーターは取り扱いが無いらしくて。
朝から島のくねくね道をバイクで滑走するという妄想に浸っていたから、できないなんて・・ただただショック。

「まあ、そう気を落とさないで。僕に考えがありますよ」

お兄さんは軽快なウインクをしてみせました。
そのウインクを見てCathyは不遜にもあらぬ期待を抱いてしまう。免許証をみなかったことにしてくれるとか、くれるとか、くれるとか・・・・・・なにか。

「僕の同僚を連れていけばいいんです。同僚が運転して、あなたが後ろに座ればいい。」

そう言って彼が顎をしゃくる方角を見ると、白髪まじりの髪をポマードでなでつけ、お腹のでっぷりと太った恰幅のいいおっちゃんがそのくりくりとした目を向けてまかせろといった様子でこっちを見ていました。

一瞬、脳裏にそのおっちゃんの背中にぴったりとくっつきバイクに2人乗りして島を駆け抜けるCathyの姿が思い浮かび、浮き足立った気持ちは一瞬で萎えきり、ブルルッと身を震わせてそれを払いのけました。

「ノー、サンキュー」
よくぞ強くお断りできたと自分でも感心するくらいきっぱりとした返事。

背中に
「why~??」

という問いかけを聞きながら店を後にし、数歩歩くとなぜだかわらわらと腹の奥底から笑いがこみ上げてきてついには往来の只中でCathy大きな声を出して笑ってた。
道行くギリシャ人が不審な視線をこちらに向けてきます。

笑っっちゃうよね!もれなくおっちゃんがついてくるモーターバイクなんて!!!

お腹が痛くなってしまうまで笑ったあと、今度は歩いてみようかという気になっていました。
そうだ、自分の足で歩いてみよう。もしかしたら新しい発見があるかもしれない。
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車間距離はお大事に!!@サントリーニ島



ぎゃああ—–!!!ちょっとまって!!
そこ!そこ!!車間距離10センチですか?!

まがりくねったくねくね道はたった2車線しかないのに、対向車線にはみ出ながら車間距離もすれすれに何台もの車を抜き去るおっちゃんの横顔は、さっき助手席のドアを開けたときの柔和なイメージとは全く別人になっていました。

そう!まさしくこち亀のバイク野郎、本田さんみたいにゲジゲジで黒く太い眉をつりあげ、口も引き締まっているのです。

そんな顔をしながらシートベルトもせずに、時速20キロから一気に70キロまで加速するのだからたまらない。

Cathyは、このギリシャの離れ島の中で気軽な気持ちで彼の車をヒッチハイクしたことを後悔し始めていました。
助手席で小さく縮こまり、お腹が冷えていくのをガマンするように固くこぶしを握り締めます。こぶしの内側にはじっとりと汗がにじみ、それがさらに自分の持つ恐怖を倍増させているのを感じます。

しかし一旦乗ってしまった以上、15キロ先の目的地まではおとなしくしているしかない。
この場合、おろして!とただひとこと言えばいいのかもしれないけれど、実際にそんなスピード狂野郎の隣に座ってみたらわかります。何にも言えなくなってしまうものなんです。

けれどそんなおっちゃんの方といえば、

「You like suntorini?」

などと、その荒々しい運転とは対極にのんきな質問をしてくものだから、姿勢をガチッガチに固めたまま、親指だけGoodのサインマークをつくって

「beautiful」

と応えてしまう自分も情けない~

約10分のドライブが終わって、やっとこさ目的地に着いたCathyは転がるようにオンボロのトヨタセダンから転げ出ました。
今度ヒッチハイクするときは、相手をよく見よう、という反省と、ちょっとばかりのスリルを味わった満足感の混じった複雑な気持ちをかかえながら・・・。

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